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タコスケが、知った風な口をきくブログあるいは頭の悪さを露呈してみるブログ


by takosuke-21

「ダーウィン賞」


 とんでもなく愚かしい遺伝子を自ら淘汰することで人類の進化に貢献した人々に与えられる賞、それがダーウィン賞である。簡単に言うと、ビーチでハリケーン歓迎パーティー、セミオートの拳銃でロシアンルーレットなど破滅的に無謀なことをやって、当然ながら亡くなった人々を笑い飛ばそうという、ややブラックなユーモアだ。
 人の死だから笑うに笑えないわけだが、頭を抱えたくなるような死に様が次々と登場する。押収した爆薬の入ったバケツにタバコの吸殻を投げ捨てた捜査員、ゴムひもを着けてバンジージャンプしたが、ゴムは伸びることを計算していなかったために地面に激突した男など、目のくらむような進化への貢献振りにいくら感謝しても感謝したりない気持ちになってくるわけだが、「う、これは自分もやってしまいそうだ」というのがひとつあったので紹介しよう。これは1992年受賞作品である。
 一二月のある日、ジェイコブ(47)はニュートン市内の自宅で、ベッド脇で鳴りひびく電話の音に目が覚め、受話器を取ろうと手を伸ばした。
 しかしうっかりまちがえて、実弾を込めたスミス&ウェッソンの38口径スペシャルをひっつかみ、そのまま耳に押し当てて発砲し、あっけなく不慮の死を遂げてしまったのだった。

 学生の頃、僕はコンポのタイマーを目覚まし時計代わりにして起きていた。枕元には拳銃ではなく、それを停止するためのリモコンが置かれていたわけだが、ある日寝ぼけた僕はその隣においてあったメガネをリモコンのように握り、レンズを懸命に押していたのだ。数回レンズを押してから、メガネでタイマーがとまるわけが無いと気づいた僕は、今度は夜更かしの原因ともなったスーパーファミコンのコントローラーを持ち、昇竜拳やら波動拳のコマンドを入力し始めた。おそらくタイマーを停めるコマンドを思い出そうとしていたのだろう。
 注目すべきはコントローラーである。使用目的は間違っていたが、ゲームコントローラーとして正しい持ち方で操作していたのだ。つまり拳銃を受話器のつもりで握り耳に押し当て、「はいもしもし」と言う代わりに引き金を引いてしまう可能性が僕にはあるのである。
 そういうわけで、枕元に危険物を置くのはやめた方が身のためであることを、僕はこの本から学んだのだった。

 この本から学ぶことがある、というのもいやなもんだが。
by takosuke-21 | 2004-11-06 00:30 |